以前の記事
2014年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 最新のトラックバック
検索
プロフィール
畑澤聖悟(はたさわせいご/劇作家)
1964年生まれ。「劇団北の会」「劇団漫金堂」「シアター・ル・フォコンブル」「弘前劇場」を経て、2005年、演劇プロデュースユニット「渡辺源四郎商店」を設立。ラジオドラマの脚本家という顔も持つ。 渡辺源四郎商店 98年以降、脚本家・演出家として年1~2のペースで様々な賞を受賞。 これまでのおもな受賞歴: 放送批評懇談会ギャラクシー大賞ラジオ部門最優秀賞/平成11年度日本民間放送連盟賞ラジオ娯楽番組部門最優秀賞/平成11年度文化庁芸術祭大賞/平成12年度日本民間放送連盟賞ラジオエンターテイメント部門優秀賞/平成13年度日本民間放送連盟賞ラジオ教養番組部門優秀賞/平成14年度・15年度日本民間放送連盟賞ラジオエンターテイメント部門優秀賞/日本劇作家大会2005熊本大会・短編戯曲コンクール最優秀賞/平成17年度全国高校演劇発表大会最優秀賞・文部科学大臣奨励賞・創作脚本賞 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
3月28日(金)
青森空港9:35発のJAL1202便で東京へ。ゆりかもめ竹芝駅で都内在住の前部長ユウコと合流して、自由劇場へ。第2回春季全国高等学校演劇研究大会を観劇。 1本目、土浦第一高校「Be More tough ! 」。高校の生物部が文化祭の発表のためにゴキブリを飼育する。素晴らしいアイディア。充分楽しんだのであるが、いろいろ考えたので書く。後半に挿入された太平洋戦争とカフカの「変身」のくだりはいずれも、 「ゴキブリの命ほどに貶められた人間の命」 の物語であり、結果として浮かび上がるのは 「人間の尊厳とはなにか?」 といった類の問題である。生物部員たちが生き残った幼虫に歓声を上げるラストシーンが狙うのは明らかに 「ゴキブリの命も人間の命と同じくらい素晴らしい」 ということであり、これは 「一寸の虫にも五分の魂」 的な生命賛歌(そして生物部賛歌)である。つまり、同じ「ゴキブリ=人間」の図式を使っていながら、両者は天と地ほどに違う。だから明らかにブレているのである。偉そうなことを言うようで恐縮であるが、ゴキブリのアイディアは秀逸(やられた、と思った)なのだから、書くことを一本に絞ればもっともっと素晴らしい舞台になったのではないか。 2本目、愛知高校「品川心中~古典落語より~」。06全国大会で拝見した同校の「死神」と同じく落語ネタであるが、比較にならないくらい素晴らしかった。俳優の充実ぶりが尋常でなく(画一的ながなりは気になったが)、特にお染と金蔵の2人は奇跡のようである。踊りも効果的。スタッフワークも申し分なく、特に中盤、品川の海への舞台転換は見事であった。あっと驚いた。暗転が開けたらいきなり海なんだもの。それまでの暗転はどちらかというと「そんなの暗転しなくてもいいじゃん」な印象があったのだが、たぶん、いや、間違いなくあの見事な転換の布石だったのだろう。すっかり油断していたので、してやられた。ひとつだけ贅沢を言わせてもらうと、落語に親しんだ身にはあのテキストをあの速度でやられると遅く感じられて仕方がない。耳がノッキングするのである。これは彼らの責任ではなくて、つまりダイアローグは一人話芸のテンポにはどうしたって敵わないのである。仕方ないのである。だからってこの芝居自体の素晴らしさが損なわれることはないのである。が、あれだけキャストとスタッフと演出力に恵まれていながら、 「志ん生や談志のテンポと比較されるかも知れない」 というリスクを抱えるのは損だなあ、と、強く思ってしまったのだ。とはいえ、 「だって、好きなんだもん」 という落語ではあり得ないサゲに 「これは落語じゃない。わしらの芝居じゃ」 という自負をありありと感じた。本歌取りってのはこうあるべきである。お見事。この芝居が中部ブロックのイチヌケでないのが信じられない。夏の桐生にはいったいどんな化け物が上がってくるのだろう。 3本目、川之江高校「犬山さんと猫田さん」。夜の公園で2人の女子高生が出会う。2人とも家出してきたのだが、いずれも家は近所であり、どこか遠くに行く度胸もない。プチ家出にすらならなぬショボい家出である。劇作上、すべての情報や問題を序盤でほとんど開示してしまうのは大きな冒険だったと思うが、客席は大いに盛り上がっていた。訓練された演技はさすがの見応え。小道具(ラケット2本と仮面2つ)の出し方と使い方も憎らしいほど巧い。テキストの解釈が非常に柔軟で、「はい」とか「いいえ」のような短い台詞をグラデーションのように多彩に演じ分ける。細部に神経が行き届いている芝居は観てて気持ちがいい。それだけで舞台が安定するのである。勉強になりました。ただ、おそらくは俳優の戦術理解度がめちゃくちゃ高いがゆえに全員の芝居が一緒に見えることがあり、例えばそれは、 「泊めてくれる?ダメだよね」 というような一人ノリツッコミのタイミングの取り方や速度だったりするのだが、それが果たして 「一緒のチームなんだから共通して当然」 と言っていい範疇のモノなのかはよくわからない。いずれにせよ、非常に質の高い舞台であった。 終演後、森本先生ら全国事務局の先生たちに混じって浜松町駅前の居酒屋へ。関西の諸先生から神戸高校「マジンガー」の話を伺う。町工場でマジンガー?うわあ、すげえ。それだけでもう面白い。甲府昭和の中村先生と萌える。先生は2歳年長で、つまり共にマジンガー世代なのである。ああ、観たい。どうやったら観られるんだろう。
by nabegen4ro
| 2008-03-28 22:47
| 演劇
|
ファン申請 |
||