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プロフィール
畑澤聖悟(はたさわせいご/劇作家)
1964年生まれ。「劇団北の会」「劇団漫金堂」「シアター・ル・フォコンブル」「弘前劇場」を経て、2005年、演劇プロデュースユニット「渡辺源四郎商店」を設立。ラジオドラマの脚本家という顔も持つ。 渡辺源四郎商店 98年以降、脚本家・演出家として年1~2のペースで様々な賞を受賞。 これまでのおもな受賞歴: 放送批評懇談会ギャラクシー大賞ラジオ部門最優秀賞/平成11年度日本民間放送連盟賞ラジオ娯楽番組部門最優秀賞/平成11年度文化庁芸術祭大賞/平成12年度日本民間放送連盟賞ラジオエンターテイメント部門優秀賞/平成13年度日本民間放送連盟賞ラジオ教養番組部門優秀賞/平成14年度・15年度日本民間放送連盟賞ラジオエンターテイメント部門優秀賞/日本劇作家大会2005熊本大会・短編戯曲コンクール最優秀賞/平成17年度全国高校演劇発表大会最優秀賞・文部科学大臣奨励賞・創作脚本賞 その他のジャンル
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12月23日(日)
仙台郊外、名取市文化会館へ。トーホグ地区高校演劇発表会2日目である。青森中央高校「河童」は渾身の新作。彼らの成長に合わせて何度も改稿した。演出のヒメノとは話し合いを重ねてきたし、「自分の作品」であるという意識は強い。とはいえ私は彼らの顧問ではないし、演劇部顧問ですらないのだから、目立たぬよう会場の隅っこでコソコソしていなければならない。なんともコンプレックスな立場である。 それとは別に、嫌な予感がしてならないのは今回が2001年のトーホグ大会と奇妙に符合しているからである。会場は多賀城市市民会館。どちらかというと音楽専用に特化したようなホール構造で台詞の声がやたら拡散してしまい、カツゼツだの客席への顔の向きだのやたら苦労しなければならなかった(きっと演劇以外では素晴らしいホールなんだと思いますが)。あの年の上演①は福島県代表内郷高校「櫻の園」で、作者はいしいみちこ女史。青森中央「室長」は上演⑪で、すぐあとは小名浜高校、あの「チェンジ・ザ・ワールド」だった。そして、もう一校の青森県代表は田名部高校「海の盆歌」で作者は村元督先生。「チェンジ・ザ・ワールド」の最優秀には文句がなく賛辞の拍手。が、わが「室長」は優秀賞を逃し、しかも講評では、 「テレビの影響のおふざけギャクが見苦しい」 「大がかりな装置が見かけ倒しである」 「自作の音楽を使うべきであった」 など、さんざん酷評された。6年経った今でも克明に覚えているのは、 「ひでー講評だ」 と、思ったからである。酷評というならあれ以上の酷評は何度も経験している。が、あれ以上納得のできない講評を私は知らない。まあ、芝居が良くなかったのは確かなのであろう。半透明の3×12パネル20枚がよく機能していなかったのは認める。ギャグが滑って本筋と上手く融合していなかったのも認める。弁解するなら役者たちの意識は 「このホールで、客席までなんとかして声を届かせる」 の一点に集中していたのである。それとて普段の発声練習がなっちょらんからだと言われればそれまでこと。だがしかし、だからといって、 「私はこの素晴らしい高校演劇を単なるおふざけの場にして欲しくないッッッ!」 と、壇上で力を込めて難じられるいわれはない。 「素晴らしい高校演劇」 って、どういうのが素晴らしいの?というツッコミはさておき、それを講評で言うのか。私個人に後で言うのはわかるが、私を信じて必死に稽古してきた部員たちはそれをどう受け取ればいいのだ?「蜘蛛の糸」を踊りながらシャウトすることのどこがテレビの影響だ?そして自作の音楽ってなに?それを使えば、芝居って絶対良くなるの? 「審査員も講評で審査されてるってことを忘れないで欲しいよね」 と、開会式後、敬愛するいしいみちこ先生に言われたのが忘れられない。 そんなわけで忌まわしい記憶満載の2001年トーホグ大会であるが、今回は、 ①宮城県開催でしかも仙台近郊 ②会場はどちらかというと、音楽向き ③トップ上演はいしいみちこ ④青中央の次は小名浜 ⑤もう一校の青森代表は村元先生の書き下ろし ⑥作品タイトルが漢字ふた文字 と、なんとこんなに符合している。これはぐーぜんとは思えない。このままいけば入賞を逃し、しかもひでー講評を聞かされることは間違いない。岩木山に籠もって祈祷したいような気分だったのである。 前置きが大変長くなった。 上演⑦宮城広瀬高校 「赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス」 上演⑨秋田南高等学校 「トシドンの放課後」 上演⑩青森中央高等学校 「河童」 上演⑪小名浜高等学校 「去っていく男」 上演⑫山形東高等学校 「ぜろ2007」 を観劇。いろいろあって昨日の上演を見られなかったのがなんとも残念。いろいろ思うところはあったが、「自分の作品」が出ている以上、他の上演について公の場であーだこーだ言うのはあんまり美しくないと思うのでここには書かない。が、恥を押してひとつだけ。秋田南。トシドンはナマハゲにしたほうが良かったよ。お面をかぶるラストシーンがなぜ鹿児島弁なの?トシドンとナマハゲの圧倒的な知名度の差をなぜ活用しないの?「泣ぐ子はいねが!言うごどきがね子はいねが!」を言う特権をなぜ放棄するの?あなたたちは借り物の鹿児島弁じゃなく生きた秋田弁でそれが出来たんじゃないの?勿体ない。あまりにも勿体ない。 夕刻、講評と結果発表。「河童」は最優秀賞受賞。嬉しさよりもほっとした。あの子たちに義務を果たした気分である。講評でも褒めていただいた。本当は鋭い指摘を頂きたかったところであるがひとまず安心。藤田傳先生の男気ある講評と内山勉先生の的確な講評。今だから白状するが、「河童」のスタートは、 「ヒトがヒトを愛するということがある限りいじめはなくならない」 という、去年の青森県大会の藤田先生の講評であった。あのあとむつから青森への帰りの愛車SIENTAで「河童」の骨子は定まったのである。顧問であれば審査員控え室に挨拶に行って、御礼が出来たのにと悔やまれてならない。審査員の一人による盛岡市立高校への講評は残念であった。稽古の努力を否定されたら高校生はどうすればいいのか?印象として正しくても、原因と対策を論理的に説明するべきである。なぜそうなったの?どうすればいいの?審査員が壇上で述べる講評は印象批評に留まってはいけない。若い演劇人への影響を真摯に考えなければならない。彼らのやる気を刈り取ってはならない。あの日のいしい先生は実に正しいことを言った。自戒の意味を込めて強く胸に刻みつけたい。
by nabegen4ro
| 2007-12-23 23:48
| 演劇
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